サラリーマン診断士の雑記

ゆるめに書いていきます。

決裁って何で必要なの?という方のために

今日は社内の意思決定プロセスについてお話ししたいと思います。

多くの場合、会社では「決裁」という仕組みをもって会社の意思決定プロセスを管理しています。

 

けっ‐さい【決裁】

[名](スル)権限を持っている上位者が、部下の提出した案の可否を決めること。「決裁を仰ぐ」「書類を決裁する」

 出典:デジタル大辞泉

 

ちなみにお金の支払いを意味する「決済」とは違います。

 

会社で何かをするためには意思決定が必要です。それを「決裁」という仕組みで行うわけですね。

 

 

決裁は以下のような順序を以て行う例が多いです。私の勤め先や取引先は概ね以下のような手続きをとる会社がほとんどです。

 

⓪審査部門が決裁基準をルール化しており、これに基づき決裁基準が判断される

①担当者が決裁書(稟議書とか議案書とか言ったりします)を書く

②審査部門が内容を精査する

③⓪で判断された決裁者に決裁を仰ぐ

④決裁者がOKする→完了

 

この決裁という仕組みですが、決裁を取りたい人からすれば面倒です。営業部の人間からすれば苦労して顧客から案件を獲得してきたのになんでいちいち紙書いたり審査部門に見てもらわなあかんねん、って思いますよね。

 

じゃあなんで会社はこんな仕組みを作っているのかというと理由は2つあります。

 

1. 会社のガバナンスのため

ここをさらに掘り下げると2つありますが、もっと言うと不正禁止ですね。営業の社員が巨額の取引を勝手に行う。財務部の社員が勝手に会社の金で信用取引する。こんなことされると会社はあっという間に破産します。こうならないように決裁という仕組みで管理部門の目を入れて防ぐわけです。

 

2. 会社の意思決定の効率化

要は経営陣から下部の階層への権限移譲です。

一点目は不正を防ぐ、というマイナス面を回避するためのものでしたが、2点目は会社がよりよくなるためのものです。要は経営者には重要なことだけをさせて、そうでないことは下の人たちに権限移譲させよう、ということです。

会社の最高意思決定機関は(株式会社であれば)株主総会ですが、株主は取締役を選ぶことで取締役に日々の会社経営を委任しています。つまり日常的な経営の権限は取締役にあるわけです。

取締役は従業員を使って会社を経営するわけですが、会社の意思決定って無数にありますよね。大規模なM&Aもあれば、従業員が日常的に使う文房具の発注まで、金額や会社へのインパクトは全然違いますがこの2つは会社の意思決定という意味では同じ扱いになります。

じゃあ忙しい取締役がいちいち文房具選ぶ意思決定に関与してると会社としては非常に非効率です。ボールペンをジェットストリームにするかフリクションにするかを経営陣に決めさせることで会社がよりよくなるとは思えないですよね。

高い報酬を得ている経営者にはもっと会社の重要事項についての意思決定に注力してほしい。よって影響度の低い話は権限を委譲するわけです。

 

結果、重要性に応じて決裁者を決める、という仕組みができます。

例えば1百万円未満なら課長、10百万円までなら部長、1億円までなら執行役員、、以下で決めてくれ、といったようになります。

こうすることでえらい人たちはより重要な事項に専念し、あとは下の人たちに決めさせる、ことができます。会社の意思決定を効率化することができます。

 

 

 

会社によってこの権限移譲の水準はかなり違います。会社法では重要な事項(例えば多額の借財)は取締役会で決めなければならない、といったルールはあるのですが、それ以外の基準は各社が独自に決めることができるので、この権限移譲の仕方は業界や会社によってかなり色が出ます。

意思決定権限をどこまでどのように移譲するか、は会社の特色や文化を決める重要な要素だと思います。

営業部に権限移譲ができている会社は営業力が強くてガンガン営業を取りに行けますよね。一方でやりすぎが出るのが世の常。どこかで線引きをする必要があります。ただ保守的な線引きをすると、何をするにしても"お上"に仰がなければならない意思決定が遅い会社になります。

意思決定が遅いと優良な契約を取れるチャンスを逃してしまったり、裁量がないことで社内のモチベーションが下がったり、とマイナス面が出てきます。

 

こういったバランスを考えて、決裁基準を決める必要があります。(私も日々悩んでいます。)

 

なお、上の決裁プロセスに出てきた「審査」の役割についてはまた別の機会で述べたいと思います。